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変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは変形性膝関節症とは、クッションの役割を果たしている関節軟骨のすり減りによって、膝関節で炎症や変形を起こす疾患です。加齢を主な原因とするため、40~50代での発症が目立ちます。
初期には立ち座りの際、歩き始めに膝に痛みが出るものの、進行するとそれ以外のタイミングでも痛みが続いたり、正座・階段の上り下りが困難になったりします。日常生活への影響が大きく、ロコモティブシンドロームの原因になることもあります。

変形性膝関節症の原因

主な原因は、加齢による膝軟骨の水分量の低下および弾力性の低下です。軟骨が擦り減り、次第に痛みが出るようになります。女性では40歳以降、男性では50歳以降の発症が多くなります。なお、全体の男女比は1:4と、明らかに女性に発症しやすいことが分かっています。これは、女性が比較的筋肉量が少なく膝軟骨への負担が大きくなることが影響しているものと考えられます。
また、肥満や激しい運動など、軟骨のすり減りを加速させるリスク因子がある場合には、それより若い年齢で発症することもあります。

変形性膝関節症に
なりやすい人は?

変形性膝関節症になりやすい人は?
  • 女性では40歳以上、男性では50歳以上の人
  • 肥満
  • 激しい運動をしていた、している人
  • 膝に負担のかかる肉体労働(農業、漁業など)をしている人
  • リウマチ、骨壊死などの既往歴がある人

 

変形性膝関節症の
症状チェック

変形性膝関節症の主な症状は、膝の痛み・変形です。その経過をご紹介します。

初期症状

  • 立ち座りの際の膝の痛み
  • 歩き始めの膝の痛み
  • 歩き始めてしばらくすると痛みが軽快する

中期症状

  • 正座をする際の膝の痛み
  • 深くしゃがむ際の膝の痛み
  • 階段の上り下りの際の膝の痛み
  • 膝の熱感、腫れ
  • 歩く時の膝の違和感、きしむような音

末期症状

  • 痛くて正座ができない
  • 手すりなどに掴まらないと立ち上がることが困難
  • 痛みによる歩く、座るといった動作の困難
  • 膝の痛みが慢性的に続く
  • 膝関節の変形、膝を伸ばせない

変形性膝関節症の
検査と診断

診察

問診では、日常生活中での痛みの出方、スポーツ歴などをお伺いします。
また膝関節を視診、触診し、変形の有無や不安定性の程度などを調べます。

検査

診察の上で、レントゲン検査を行い、診断します。他の疾患との鑑別のため、MRI検査や血液検査を行うこともあります。

MRI検査について
詳しくはこちら

変形性膝関節症の治療

薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法が基本となり、必要に応じて手術を検討します。
また当院では、膝関節内にヒアルロン酸を注射するアルツディスポにも対応しております。

薬物療法

消炎鎮痛剤の内服、湿布・軟膏の外用などがあります。

リハビリテーション

運動療法、物理療法などのリハビリテーションを行います。
医師の指導に基づいた適切なリハビリテーションに、広々としたフロアで取り組んでいただけます。

保存療法

ヒアルロン酸を膝関節内に注入する(アルツディスポ)ことにより、膝の痛みや炎症の軽減が期待されます。アルツディスポは定期的な注入が必要ですが、患者の症状に応じて注射回数を調整することができます。

手術

保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術が検討されます。
関節鏡によるクリーニング手術、骨切り術、人工関節置換術などがあります。

変形性膝関節症の人が
してはいけない動き

激しい運動

痛みが軽いからといって、無理な運動をしては膝の軟骨のすり減りが加速し、症状が悪化します。特に急なスタートやストップを伴う運動は、絶対に控えるようにしてください。
ただし、運動不足は筋力低下や肥満を招きます。ウォーキングや水泳、のちほどご紹介するストレッチなど、膝への負担の少ない運動は、痛みと相談しながら、積極的に取り組みましょう。

正座、ペタン座り

正座、あるいはそこから膝下を左右両側にずらしてお尻が床につくペタン座り(女の子座り)は、膝関節に余計な負担をかけます。また、前かがみの胡坐もあまり良くありません。
座る時は、椅子に腰をかけるのが理想です。

和式トイレの常用

和式トイレを使用する際のしゃがんだ姿勢は、膝に大きな負担をかけます。できる限り、洋式トイレを使うようにしてください。

重い物の上げ下げ

重い物を持ち上げる、床に置くといった動作は、膝への負担が大きくなります。
特に注意していただきたいのが、布団を使用している方です。毎日、押し入れに布団を上げ下げしていると、膝軟骨にダメージが蓄積していきます。家族に手伝ってもらうか、ベッドへの変更を検討します。ベッドは、ベッドに入る時も起きる時も、膝への負担が抑えられます。

飲酒・喫煙

軟骨の弾力性を低下させる飲酒、軟骨をつくるのに欠かせないビタミンCを減少させる喫煙は、できるだけ避けましょう。

変形性膝関節症予防の
ためのストレッチ

変形性膝関節症を予防するのに有効なストレッチをご紹介します。
目安として秒数・回数を記載していますが、無理のない範囲で調整してください。また椅子を使う場合は、パイプ椅子などは使用せず、がっちりした、転倒の心配のないものを使ってください。

膝のストレッチ

ひざ周りのストレッチ

  1. 仰向けになり、片脚の太腿の裏を、両手で抱え込むようにします。
  2. 抱え込んだ脚を引き寄せ、5秒間静止します。
  3. 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同じことをします。

太もも裏のストレッチ

  1. 床にお尻をつけ、開脚します。
  2. 片方の脚を、楽な角度で曲げます。
  3. 伸ばしている側の脚の先に向けて、背筋を伸ばしたまま、身体を倒していきます。この状態で、10秒間静止します。
  4. 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同じことをします。

脚の筋力トレーニング

太ももの筋力トレーニング

  1. 椅子に浅く腰かけ、丸めたタオルを膝のあいだに挟みます。
  2. 片側の膝を真っすぐ伸ばします。その脚を床から10cm上げた状態で10秒間静止します。
  3. 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同じことをします。

ひざの筋力トレーニング

  1. 椅子に浅く腰かけ、肩幅程度に両足を開きます。
  2. クッションや座布団など、野球ボール2つ分くらいの厚みのあるものを膝のあいだに挟みます。
  3. 両ひざを内側に寄せ、挟んだものが落ちないように5秒間保持し、力を抜きます。これを10回、繰り返します。